海外口座を使った場合の株式譲渡所得の申告

2019年4月30日をもって、本ページのブログ記事リンク先について、cocologのブログ「今日の一言」から「旅人系投資家 カルロス・ハッサンの地球探訪」への修正作業を完了しました。

この株式譲渡所得は確定申告書第三表に未公開分として記載する。

【2005年1月22日掲載/2019年4月30日最終更新】

小額投資非課税(ニーサ/NISA)口座の制度について
2014年(平成26年)1月から株式譲渡所得及び配当所得に関する軽減税率(10%)の適用がなくなり、国内の証券会社においては、小額投資非課税(ニーサ/NISA)口座の制度ができる。(租税特別措置法第9条の8、第37条の14)
また、2016年(平成28年)1月から未成年者口座においても小額投資非課税(ニーサ/NISA)制度が適用となる。(ジュニアNISAの創設)
このニーサ(NISA)口座については、弊サイトを含めて関連コラムを紹介するので、ご参照いただければ幸いである。 参考資料

「今日の一言」関連記事

外国株式等の配当所得と損益通算
ダイヤモンドZAI 2010年3月号 確定申告特集
みずほ銀行-外国為替公示相場ヒストリカルデータ
確定申告用-株式投資損益計算書(Excel)
Toward a dream-come-true「経済的自由への扉は開かれた」
HSBC香港の口座開設と活用について
米国証券会社(Firstrade, TD Ameritrade)の口座開設と活用について
海外口座の相続手続きについて
法令データ提供システム
谷口パートナーズ国際会計・税務事務所
田邊国際税務事務所
税理士法人-山田&パートナーズ
外貨建て資産投資の所得・相続・贈与税
若菜雅幸米国公認会計士のページ

このところ私の頭を悩ましているものに、「外国の証券会社を使った場合の株式譲渡所得の申告」の問題がある。
TD AmeritradeHSBC Hong Kongに保有している株式の配当に関しては、原則として申告が必要になるし、売却すれば当然そうなる。
ところが、国税庁タックスアンサー(税金相談)はもとより、市井のマネー雑誌でも、国内の業者を通した外貨投資のことには詳しく触れていても、純然たる海外投資に関する申告のことはあまり載っていない。

つまり、私が知りたいのは、海外株式譲渡所得の申告に関して、日本での株式取引に適用される株式等の譲渡に係る主な特例(第153回臨時会において成立した租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成13年11月30日法律第134号)で制定されたもの)が、海外での取引にも適用されるか否かであり、これは非常に大きな問題なのだ。
その主なものは

  1. 上場株式等の譲渡損失の損益通算と繰越控除
    2003年(平成15年)1月1日以降に上場株式等を「金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者」を通じて売却したことにより生じた損失の金額のうち、その年に控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により株式等に係る譲渡所得等の金額から繰越控除できること。
    また、平成21年分の申告から株式配当所得と、譲渡損失(累計分も含む)との損益通算ができるようになった。

  2. 上場株式の優遇税率の特例[適用廃止]
    株式等を譲渡したときの税率が、2003年(平成15年)1月1日から2008年(平成20年)12月31日までの間に「金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者」を通じた上場株式等の譲渡の場合は、10%(所得税7%、住民税3%)に軽減されること。
    これを規定した租税特別措置法第37条の11(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)は廃止されたが、経過措置として2013年(平成25年)12月31日まで同様の措置が講じられている。(国税庁-株式等を譲渡したときの課税)(参考) 外貨で表示されている株式等に係る譲渡の対価の額等の邦貨換算について

  3. 上場株式取得費の特例[適用廃止]
    2001年(平成13年)9月30日以前に取得した上場株式等の取得費は、2003年(平成15年)1月1日から2010年(平成22年)12月31日までの間に譲渡した場合に限り、2001年(平成13年)10月1日における価格(証券取引所等において公表された最終の売買価格)の80%に相当する金額とすることができること。
    なお、2011年(平成23年)1月1日以降に譲渡した上場株式等の取得費が不明の場合は、タックスアンサーの「No.1464 譲渡した株式等の取得費」-「5 取得費が分からない場合などの取扱い」で、取得費の額を売却代金の5%相当額とすることができるとあるが、相当に不利な計算を強いられることになる。(租税特別措置法通達37の10-14
    そこで、国税庁から「上場株式等の取得価額の確認方法(平成22年6月)」という譲渡・山林所得関係のパンフレットが出ているので、それを参考に取得費を算出して確定申告をするといいだろう。

  4. 特定上場株式等の譲渡所得非課税の特例[適用廃止]
    2001年(平成13年)11月30日から2002年(平成14年)12月31日までに取得した上場株式等(特定上場株式等)を、2003年(平成15年)から2004年(平成16年)までの2年間保有したのち、2005年(平成17年)1月1日から2007年(平成19年)12月31日までの間に「金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者」を通じて売却した場合、その取得価額が3年間の累計で1,000万円に達するまで、譲渡所得が非課税となる。

なぜこんなことを調べたのか?
それは海外口座を通じて取引して得た利益については、国内の業者を通じて取引したときのように税金(所得税・住民税)を源泉徴収されて「日本国政府」に納めてくれるわけではもないし、原則としてすべての所得を申告しないといけないからだ。
よく言われるように、一介のサラリーマンが自分の持っている海外口座の取引について利益を申告しなくても税務当局はよほどのことがない限り、調査には着手しないだろう。
それに申告は税理士にでも頼みたいくらい面倒だし、どうせ税務署はわかりっこない、ということで、海外資産運用で得た利益を申告しない人も多いと聞くし、投資の掲示板を見てるとそういう意図で質問している人さえいる。

でも本当にそれで大丈夫だろうか?
海外資産運用をしようという人が邦貨換算で100万円程度の金を預けて何もしなければ、海外の銀行は日本のように優しく(!?)ないらしいので、休眠口座(利益を生まない顧客の口座)とみなされて、インアクティヴチャージ(inactive charge)を取られたり、口座を凍結されたり、場合によっては現地国政府に没収されたりすることもあるという。
一般には海外口座を開く理由は、日本では買えないようなバラエティに富んだ商品で資産運用をしたい、あるいは来るべきXデイに備えて資産を疎開させたい、という願望があるはずだ。
そうなると基本的には、随時日本にある資金を海外口座へ移動させるわけで、一回につき、100万円を超える送金に対しては税務当局にその都度報告が行くことになっている。(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第4条第1項、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令第8条)
また、一度の送金額は少なくとも、例えばそれが長期にわたって毎半期毎に繰り返されたら、税源を鵜の目鷹の目で探している当局の目に留まることもあるだろう。
それで確定申告書に一度も海外投資損益に関することが出てこない、ということになれば質問や調査が入る可能性は否定できない。

最近では、政府が外国政府との間に租税協定(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための二国間協定)を次々に締結している。(財務省-国際課税に関する資料
そして、2012年度(平成24年度)税制改正において、国外財産調書の提出制度が創設され、適用開始時期が、2013年(平成25年)12月31日現在に保有する国外財産の金額が5千万円を超えるものについて、2014年(平成26年)1月1日以後に提出すべき国外財産調書からとなった。(2013年3月11日-国外財産調書制度は脱税防止に役立つのか
これからは、国税当局も海外資産に対する徴税強化キャンペーンを張ってくるだろう。
そのためにも税務申告の準備は怠らないことだ。

海外居住者の口座情報、毎年交換 税逃れを防止
(2014.7.31 日経新聞)
富裕層の税逃れを防ぐため、海外に住む個人の金融口座の情報を多国間で交換する経済協力開発機構(OECD)の新ルールの詳細が30日、明らかになった。
各国の金融機関に海外居住者すべての口座情報を毎年1回、税務当局に報告させ交換するのが柱だ。
2015~16年の導入を目指す。
主要20カ国・地域(G20)もOECDルールの活用で合意しており、9月にオーストラリアで開くG20財務相・中央銀行総裁会議でも詳細を確認する。

米国は海外の金融機関に米国人の口座情報の提供を義務づける法律を2010年に成立させ、海外口座情報管理を強化。
これを機に、多国間で情報を交換すべきだとの機運が国際的に高まった。
新ルールに参加する国の税務当局の間で、海外に住む人の情報を交換し、資産隠しや税逃れに歯止めをかけるのが狙い。
日本の国税当局が米国に送るのは、日本の金融機関に口座を持ち、米国に居住する日本人や米国人らの情報だ。
逆に米国の当局は米国で口座を持ち、日本に居住する米国人や日本人らの情報を日本の当局に送る。

各国の金融機関に海外居住者が持つ預金口座や証券口座の情報を税務当局に毎年1回オンラインで提出することを義務付ける。
海外居住者が持つすべての口座の名義人、住所、残高、利子や配当の受け取り記録などを報告の対象にする。
金融機関の事務負担を減らすため、残高100万ドル(約1億円)以下の口座はシステムでの検索など簡易な方法での確認を認める。
一方、100万ドル超は営業担当者への聞き取りや保存する書類の確認など、より詳細な作業を求める。
口座情報の交換は当初2015年末までに始めるとしていたが、準備が間に合わないため、2016年末まで延期することも検討する。

各国はこれまでも税逃れを防ぐために、租税条約を結んで情報を交換してきた。
ただ、不定期に情報が入ったCDなどを郵送でやりとりする程度だった。
新ルールでは年に1回オンラインでやりとりするため、情報の質や更新頻度が高まる。
ただ、金融機関の手間やコストの増加につながる。
日本の金融機関は口座を特定する作業が膨大になることを懸念し、一定額以上の残高がある口座に対象を限定するよう求めていた。
新ルールにはOECDに加盟する34カ国などが参加する見通し。
G20の枠組みで新興国にも広げ実効性を高める方向だ。
タックスヘイブンのブラックリスト、OECDが公表へ
(2009.4.3 産経新聞)
【ロンドン=木村正人】金融サミットで採択された首脳宣言で、脱税の温床になっているタックスヘイブン(租税回避地)の最新版”ブラックリスト”の公表が決まった。北朝鮮の資金洗浄にも使われたマカオや香港を擁する中国の反対で交渉は当初難航したが、欧米の主要国は脱税摘発を進めるにはリストの公表は不可欠として押し切った。
ブラウン英首相は2日、会合後の記者会見で「タックスヘイブンの息の根を止めることでG20は合意した」と述べ、同日中にリストを公表すると表明した。
今回のサミットでは経済協力開発機構(OECD)が作成した最新版リストをもとに、タックスヘイブンを
  1. 税務情報の交換に協力的でない
  2. OECDルールに従う用意がある
など3段階に分類。非協力的な国や地域には制裁を科すことで合意した。
リスト(Progress Report on the Jurisdictions Surveyed)についてはG20が発表する形は取らず、OECDが公表する。

リスト公表を強く求めたのはサルコジ仏大統領だ。
ラガルド仏経済・財政・雇用相は英BBC放送に対し、タックスヘイブンなどの金融規制に進展がなければ同大統領は金融サミットを退席すると述べていた。
複数の交渉筋によると、OECDのトレビニョ事務総長が最新版リストをひそかに議長国・英国に提示。
サルコジ大統領は同リストの公表を要求していた。

OECDは、銀行の守秘義務をタテに顧客の税務情報の交換を拒絶してきたスイスなどについて、「銀行情報のアクセスに大幅な規制を課す国」という新分類を設け、リストに掲載することを検討。
独仏もこれを後押ししており、首脳宣言の最終草案にも「2日にリストを公表する」と、いったん明記された。しかし、OECD未加盟の中国の反対で交渉は難航した。

中国の経済成長に伴い金融業が拡大した特別行政区のマカオや香港は、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアに北朝鮮の金正日総書記の関連資産が預けられていたことから、資金洗浄の温床になっていると国際的な批判を浴びた。
中国は今年2月以降、マカオや香港についてOECDルールに基づき税務情報の交換に応じる姿勢に転じたため、金融サミットでも「マカオと香港はタックスヘイブンではない」と強硬に主張していた。

関連サイト
租税回避地な国々「情報出すからブラックリスト除外を」
(2009.3.14 朝日新聞)

【ベオグラード=国末憲人】脱税の温床などとして非難を受けていた欧州のタックスヘイブン(租税回避地)諸国が12~13日、秘密口座の情報開示などで主要国に協力する姿勢を相次いで表明した。
タックスヘイブンは4月にロンドンで開かれる金融サミット(G20)の主要議題として浮上しており、米仏独などからの圧力を受けての措置とみられる。
新たに協力を表明したのは、アンドラ、リヒテンシュタイン、モナコ。タックスヘイブンの透明性を求める経済協力開発機構(OECD)が作成したブラックリスト(List of Unco-operative Tax Havens)に掲載されている3カ国だ。
銀行口座の強い秘密性に、各国の批判が集中していたスイス、ルクセンブルク、オーストリア、ベルギーなども歩み寄りの姿勢を見せた。
これまではOECDや主要国からの協力要請を拒否してきた国々だが、欧州主要国が2月に開いた首脳会合で、タックスヘイブンに透明性確保を迫り、拒む国には制裁も検討することで合意。
G20の主要議題とすることで一致した。
米国も、税金逃れに利用されているとして強く情報開示を求めていた。

各国からの報道によると、リヒテンシュタインは12日、OECDが定めた透明性の基準を認めると初めて表明。ブラックリストから除外されるよう希望した。これまではOECDを交渉相手と認めない態度を取っていた。
アンドラも同日、11月までに銀行の秘密口座をやめると表明。
ベルギーも秘密口座を来年廃止する方針を示した。

13日には、モナコも脱税事件に関して情報交換を進めると表明。
スイスは、口座の秘密性は保持する一方で「情報の交換を進める」との姿勢を示した。
当初渋っていたオーストリアも「法的疑惑がある場合には情報を提供する」と述べ、脱税事件の捜査に協力する意向を示した。

OECDは各国の対応について「大きな進展があった」と歓迎する意向を表明した。
関係各国が態度を転換した背景には、この問題をG20の目玉としたい仏独の圧力があったとされる。
ただ、各国の表明がどこまで実行されるかは不明。
G20での非難を避ける当面の措置にとどまる可能性も残されている。

関連サイト

脱税防止へ55カ国と連携・政府が新たな枠組み
(2005.11.22 日経新聞)
政府は2006年度中に欧米アジアを中心とした55カ国と脱税を防止する新しい枠組みをつくる。
海外税務当局の要請で国税庁が日本の法人や個人を強制調査(査察)できるようにして、海外送金を通した不正な所得の蓄積を各国と連携して摘発する。
国境を超えた金融取引が活発になってきたことで脱税を取り締まる国際的な協力体制が必要と判断した。
政府は年末の与党税制調査会に示し、2006年度税制改正大綱に盛る。来年の通常国会に租税条約に関する特例法(租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律)改正案を提出したい考えだ。

1998年(平成10年)4月の金融ビッグバン以降、我々は海外で証券口座を開き、そこで資産運用ができるようになったが、その根拠は怖ろしいほどに脆弱だ。
つまり、金融商品取引法の第三章第五節(旧外国証券業者に関する法律)の規定では、政令で認められた場合を除き、日本国内の個人が外国の証券会社とは取引できないことになっているからだ。

金融商品取引法
第五節(外国業者に関する特例)
第58条(定義)
この節において「外国証券業者」とは、金融商品取引業者及び銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関以外の者で、外国の法令に準拠し、外国において有価証券関連業を行う者をいう。
第58条の2(外国証券業者が行うことのできる業務)
外国証券業者は、国内にある者を相手方として第二十八条第八項各号に掲げる行為を行つてはならない。ただし、金融商品取引業者のうち、有価証券関連業を行う者を相手方とする場合その他政令で定める場合は、この限りでない。
第61条(外国において投資助言業務又は投資運用業を行う者)
外国の法令に準拠して設立された法人又は外国に住所を有する個人で外国において投資助言業務を行う者(第二十九条の登録を受けた者を除く。)は、同条の規定にかかわらず、金融商品取引業者のうち投資運用業を行う者その他政令で定める者のみを相手方として投資助言業務を行うことができる。
外国の法令に準拠して設立された法人で外国において投資運用業(第二条第八項第十二号に掲げる行為を投資一任契約に基づき行う業務に限る。以下この項において同じ。)を行う者(第二十九条の登録を受けた者を除く。)は、同条の規定にかかわらず、金融商品取引業者のうち投資運用業を行う者その他政令で定める者のみを相手方として投資運用業を行うことができる。
外国の法令に準拠して設立された法人で外国において投資運用業(第二条第八項第十五号に掲げる行為を行う業務に限る。)を行う者(第二十九条の登録を受けた者を除く。)は、同条の規定にかかわらず、金融商品取引業者のうち投資運用業を行う者その他政令で定める者のみを相手方として投資運用業(同号に掲げる行為を行う業務に限る。)を行うことができる。この場合において、第六十三条第二項の規定は、適用しない。
金融商品取引法施行令
第17条の3(国内にある者を相手方として有価証券関連業に係る行為を行うことができる場合)
法第五十八条の二ただし書に規定する政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
外国証券業者が、法第二十八条第八項各号に掲げる行為についての勧誘をすることなく、外国から次に掲げる行為を行う場合(前号に該当する場合を除く。)
国内にある者の注文を受けて、当該者を相手方として行う法第二十八条第八項第一号から第三号まで若しくは第五号に掲げる行為若しくは同項第六号に掲げる行為(同項第四号に掲げる取引の媒介、取次ぎ及び代理を除く。)のうち内閣府令で定めるもの又は当該者(第一条の八の三第一項第二号イ又はロのいずれかに該当する者に限る。)を相手方として行う法第二十八条第八項第四号に掲げる行為若しくは同項第六号に掲げる行為(同項第四号に掲げる取引の媒介、取次ぎ及び代理に限る。)
有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行うことにつき法第二十九条の登録を受けた者に限る。)による代理又は媒介により、国内にある者を相手方として行う有価証券の売買若しくは法第二十八条第八項第三号若しくは第五号に掲げる行為のうち内閣府令で定めるもの又は国内にある者(第一条の八の三第一項第二号イ又はロのいずれかに該当する者に限る。)を相手方として行う法第二十八条第八項第四号に掲げる行為
第17条の11(外国において投資助言業務又は投資運用業を行う者が相手方とすることができる者)
法第六十一条第一項及び第三項に規定する政令で定める者は、登録金融機関のうち投資運用業を行う者とする。
法第六十一条第二項に規定する政令で定める者は、金融商品取引業者のうち投資運用業(法第二条第八項第十二号に掲げる行為を投資一任契約に基づき行う業務を除く。)を行う者及び前項に規定する者とする。
金融商品取引業等に関する内閣府令
第213条(外国証券業者が行うことのできる有価証券に関連する行為)
令第十七条の三第二号イに規定する内閣府令で定めるものは、次に掲げるものとする。
有価証券の売買
有価証券の売買又は法第二十八条第八項第五号に掲げる取引の媒介、取次ぎ又は代理
外国金融商品市場における有価証券の売買又は法第二十八条第八項第五号に掲げる取引の委託の媒介、取次ぎ又は代理
令第十七条の三第二号ロに規定する内閣府令で定めるものは、有価証券の売買又は法第二十八条第八項第五号に掲げる取引とする。

つまり、今は我々がインターネットや口コミ、その他の方法で自主的に海外の証券会社を見つけて取引することは、金融商品取引法施行令(旧外国証券業者に関する法律施行令)という政令で認められているに過ぎない。
この政令が変更される(つまり海外証券口座を持てなくなる)ことは、投資を目的とした個人の海外送金を禁止しなければ実質的に意味を持たないが、財務省のみの判断で変えられることがあり得る脆弱な根拠のもとにあるということは覚えておいた方がいいだろう。

最後に、所得税法第121条(確定所得申告を要しない場合)で、給与所得が2000万円以下で、所得税を源泉徴収されるか、年末調整を受ける人(サラリーマンやOL)は、給与以外の所得が20万円以下なら申告不要となっており、海外資産の運用所得に関し、合法的に実質非課税にできる場合はこれだけだ。


上場株式等の譲渡損失の損益通算と繰越控除

確定申告する年に海外の証券会社を通した株取引で損失が出た場合、それを翌年以降に繰り越せないが、利益が出た場合は、前年に「損失繰越」したもの(つまり国内の証券会社の株取引は累積赤字)があれば優先して損益を相殺できる。
また、配当所得に関しては、平成21年分の申告から国内証券取引における株式譲渡損失(最大過去3年分の累積損失を含む)がある場合に損益通算が認められるようになった。
外国株式等の配当所得と損益通算

損失繰越控除については、2003年(平成15年)1月1日以後に上場株式等を証券会社を通じて売却したことにより生じた損失の金額のうち、その年に控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により株式等に係る譲渡所得等の金額から繰越控除できるもので、これについては、赤字申告をした翌年以降は株式の売却をしなくても(つまり損益にからまなくても)確定申告をしないといけないという条件が付く。

租税特別措置法
第37条の12の2(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除)
確定申告書(第十一項(第三十七条の十三の二第七項において準用する場合を含む。)において準用する所得税法第百二十三条第一項 (同法第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書を含む。以下この条において同じ。)を提出する居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者の平成二十一年分以後の各年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合には、第三十七条の十第一項後段の規定にかかわらず、当該上場株式等に係る譲渡損失の金額は、当該確定申告書に係る年分の第八条の四第一項に規定する上場株式等に係る配当所得の金額を限度として、当該年分の当該上場株式等に係る配当所得の金額の計算上控除する。
前項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額とは、当該居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、上場株式等の譲渡のうち次に掲げる上場株式等の譲渡(第三十二条第二項の規定に該当するものを除く。)をしたことにより生じた損失の金額として政令で定めるところにより計算した金額のうち、その者の当該譲渡をした日の属する年分の第三十七条の十第一項に規定する株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額をいう。
金融商品取引法第二条第九項に規定する金融商品取引業者(同法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業を行う者に限る。次号において「金融商品取引業者」という。)又は同法第二条第十一項に規定する登録金融機関(第三号において「登録金融機関」という。)への売委託により行う上場株式等の譲渡
金融商品取引業者に対する上場株式等の譲渡
登録金融機関又は投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十一項に規定する投資信託委託会社に対する上場株式等の譲渡で政令で定めるもの
第三十七条の十第三項又は第四項各号に規定する事由による上場株式等の譲渡
上場株式等を発行した法人の行う株式交換又は株式移転による当該法人に係る法人税法第二条第十二号の六の四に規定する株式交換完全親法人又は同条第十二号の七に規定する株式移転完全親法人に対する当該上場株式等の譲渡
上場株式等を発行した法人に対して会社法第百九十二条第一項の規定に基づいて行う同項に規定する単元未満株式の譲渡その他これに類する上場株式等の譲渡として政令で定めるもの
上場株式等を発行した法人に対して会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第六十四条の規定による改正前の商法第二百二十条ノ六第一項の規定に基づいて行う同項に規定する端株の譲渡
上場株式等を発行した法人が行う会社法第二百三十四条第一項又は第二百三十五条第一項(これらの規定を他の法律において準用する場合を含む。)の規定その他政令で定める規定による一株又は一口に満たない端数に係る上場株式等の競売(会社法第二百三十四条第二項(同法第二百三十五条第二項 又は他の法律において準用する場合を含む。)の規定その他政令で定める規定による競売以外の方法による売却を含む。)による当該上場株式等の譲渡
第一項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする年分の確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
税務署長は、前項の確定申告書の提出がなかつた場合又は同項の記載若しくは添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
第一項の規定の適用がある場合における第八条の四の規定の適用については、同条第一項中「配当所得の金額(以下」とあるのは、「配当所得の金額(第三十七条の十二の二第一項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額。以下」とする。
確定申告書を提出する居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、その年の前年以前三年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額(この項の規定の適用を受けて前年以前において控除されたものを除く。)を有する場合には、第三十七条の十第一項後段の規定にかかわらず、当該上場株式等に係る譲渡損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の同項に規定する株式等に係る譲渡所得等の金額及び第八条の四第一項に規定する上場株式等に係る配当所得の金額(第一項の規定の適用がある場合にはその適用後の金額。以下この項において同じ。)を限度として、当該年分の当該株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額の計算上控除する。
前項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額とは、当該居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成十五年一月一日以後に、上場株式等の譲渡のうち第二項各号に掲げる上場株式等の譲渡(第三十二条第二項の規定に該当するものを除く。)をしたことにより生じた損失の金額として政令で定めるところにより計算した金額のうち、その者の当該譲渡をした日の属する年分の第三十七条の十第一項に規定する株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額(第一項の規定の適用を受けて控除されたものを除く。)をいう。
第六項の規定は、同項に規定する居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が前項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき当該上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であつて、第六項の確定申告書に同項の規定による控除を受ける金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
第四項の規定は、第六項の規定を適用する場合における前項の確定申告書の提出がなかつたとき又は同項の書類の添付がない確定申告書の提出があつたときについて準用する。
10 第六項の規定の適用がある場合における第八条の四(第三項を除く。)及び第三十七条の十(第六項を除く。)の規定の適用については、第八条の四第一項中「配当所得の金額(以下」とあるのは「配当所得の金額(第三十七条の十二の二第六項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額。以下」と、第三十七条の十第一項中「計算した金額(」とあるのは「計算した金額(第三十七条の十二の二第六項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額。」とする。
11 所得税法第百二十三条第一項(第二号を除く。)(同法第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定は、居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、その年の翌年以後において第六項の規定の適用を受けようとする場合であつて、その年の年分の所得税につき同法第百二十条第一項(同法第百六十六条 において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出すべき場合及び同法第百二十二条第一項又は第百二十三条第一項(これらの規定を同法第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出することができる場合のいずれにも該当しない場合について準用する。この場合において、同法第百二十三条第一項中「第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)若しくは第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用を受け、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定による還付を受けようとするときは、第三期において」とあるのは「租税特別措置法第三十七条の十二の二第六項(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除)の規定の適用を受けようとするときは」と、「次項各号に掲げる」とあるのは「その年において生じた同条第七項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額(以下この項において「上場株式等に係る譲渡損失の金額」という。)、その年の前年以前三年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額その他の政令で定める」と、同項第一号中「純損失の金額」とあるのは「上場株式等に係る譲渡損失の金額」と、同項第三号中「純損失の金額及び雑損失の金額(第七十条第一項若しくは第二項又は第七十一条第一項」とあるのは「上場株式等に係る譲渡損失の金額(租税特別措置法第三十七条の十二の二第六項」と、「及び第百四十二条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次項第二号において同じ」とあるのは「を除く」と、「これらの金額」とあるのは「当該上場株式等に係る譲渡損失の金額」と、「総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額をこえる」とあるのは「同法第三十七条の十第一項(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)に規定する株式等に係る譲渡所得等の金額及び同法第三十七条の十二の二第六項に規定する上場株式等に係る配当所得の金額の合計額を超える」と読み替えるものとする。
12 第六項の規定の適用がある場合における国税通則法の規定の適用については、同法第二条第六号ハ(1)中「又は雑損失の金額」とあるのは「若しくは雑損失の金額又は租税特別措置法第三十七条の十二の二第七項(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除)に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額」と、「同法」とあるのは「これらの法律」とする。
13 その年の翌年以後又はその年において第六項の規定の適用を受けようとする場合に提出すべき確定申告書の記載事項の特例その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
租税特別措置法施行令
第25条の11の2(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除)
法第三十七条の十二の二第二項に規定する上場株式等の譲渡をしたことにより生じた損失の金額として政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
当該損失の金額が、事業所得又は雑所得の基因となる上場株式等の譲渡(法第三十七条の十二の二第二項に規定する上場株式等の譲渡をいう。以下この条において同じ。)をしたことにより生じたものである場合

当該上場株式等の譲渡による事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上生じた損失の金額として財務省令で定めるところにより計算した金額
当該損失の金額が、譲渡所得の基因となる上場株式等の譲渡をしたことにより生じたものである場合

当該上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額
法第三十七条の十二の二第二項に規定する控除しきれない部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額は、上場株式等の譲渡をした日の属する年分の同項に規定する株式等に係る譲渡所得等の金額(以下この条において「株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)の計算上生じた損失の金額のうち、特定譲渡損失の金額の合計額に達するまでの金額とする
前項に規定する特定譲渡損失の金額とは、その年中の株式等の譲渡に係る事業所得の金額の計算上生じた損失の金額、譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額又は雑所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、それぞれその所得の基因となる上場株式等の譲渡に係る第一項各号に掲げる金額の合計額に達するまでの金額をいう。
法第三十七条の十二の二第二項第三号に規定する政令で定める譲渡は、次に掲げるものとする。
法第三十七条の十二の二第二項第三号に規定する登録金融機関に対する上場株式等の譲渡で金融商品取引法第二条第八項第一号の規定に該当するもの
法第三十七条の十二の二第二項第三号に規定する投資信託委託会社に対する上場株式等の譲渡で金融商品取引法施行令 (昭和四十年政令第三百二十一号)第一条の十二に規定する買取りに該当するもの
法第三十七条の十二の二第二項第六号に規定する政令で定める譲渡は、所得税法第五十七条の四第三項第五号に掲げる取得条項付新株予約権又は同項第六号に掲げる新株予約権付社債のこれらの規定に規定する法人に対する譲渡で、その譲渡が同項に規定する場合に該当しない場合における当該譲渡とする。
法第三十七条の十二の二第二項第八号に規定する上場株式等の競売に係る同号に規定する政令で定める規定は、投資信託及び投資法人に関する法律第八十八条第一項及び第百四十九条の十七第一項の規定並びに会社法第二百三十四条第六項において準用する同条第一項の規定とし、同号に規定する競売以外の方法による売却に係る同号に規定する政令で定める規定は、投資信託及び投資法人に関する法律第八十八条第一項及び第百四十九条の十七第一項の規定並びに会社法第二百三十四条第六項において準用する同条第二項の規定とする。
法第三十七条の十二の二第一項の規定の適用を受けようとする場合に提出する同項に規定する確定申告書には、所得税法第百二十条第一項各号若しくは第百二十三条第二項各号に掲げる事項又は第十二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を併せて記載しなければならない。
その年において生じた法第三十七条の十二の二第二項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額
前号に掲げる金額を控除しないで計算した場合のその年分の法第八条の四第一項に規定する上場株式等に係る配当所得の金額(以下この条において「上場株式等に係る配当所得の金額」という。)
前二号に掲げる金額の計算の基礎その他参考となるべき事項
法第三十七条の十二の二第六項の規定による上場株式等に係る譲渡損失の金額(同条第七項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額をいう。以下この条において同じ。)の控除については、次に定めるところによる。
控除する上場株式等に係る譲渡損失の金額が前年以前三年内の二以上の年に生じたものである場合には、これらの年のうち最も古い年に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額から順次控除する。
前年以前三年内の一の年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額の控除をする場合において、その年分の株式等に係る譲渡所得等の金額(法第三十七条の十三の二第四項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)及び上場株式等に係る配当所得の金額があるときは、当該上場株式等に係る譲渡損失の金額は、まず当該株式等に係る譲渡所得等の金額から控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは、当該上場株式等に係る配当所得の金額から控除する。
所得税法第七十一条第一項の規定による控除が行われる場合には、まず法第三十七条の十二の二第六項の規定による控除を行つた後、所得税法第七十一条第一項の規定による控除を行う。
(第9項から第21項まで省略)
租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱い
雑損失の繰越控除及び所得控除の順序
37-10-4 その年の前年以前3年内の各年において生じた雑損失の金額の控除は、「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」(法令解釈通達)31・32共-4によるのであるが、株式等に係る譲渡所得等の金額から控除する場合には、株式等に係る譲渡所得等の金額から控除する場合には、株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)又は株式等に係る譲渡所得等の金額(上場分)から順次控除するものとする。また、その年分の所得控除についても、これと同様に取り扱う。
  1. 株式等に係る譲渡所得等の金額(未公開分)とは、措置法第37条の10第1項の規定の対象となる株式等の譲渡に係るもの(次の(2)に該当するものを除く。)をいう。

  2. 株式等に係る譲渡所得等の金額(上場分)とは、平成20年改正法附則第43条第2項の規定の対象となる株式等の譲渡に係るものをいう。

ここで、2003年(平成15年)1月1日以降に売却した株式のうち、租税特別措置法第37条の11の第1項各号という条文が出てきた。
つまり、金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者を通じない取引は、「損失繰越」の対象とはならず、従って海外取引で塩漬け株などを叩き切った年は、同一年内に利益確定の売りを行なう(決算対策の売り)候補を選定しておく必要がありそうだ。
逆に先に大きな利益を得た場合は、損失の出ているものを何のためらいもなく売り払う必要があると言えるだろう。

但し、国内の証券会社でも株取引をしている人が、前年の確定申告で「損失繰越」をしている場合は(つまり累積赤字があれば)、優先して損益を相殺できるので、そのあたりはよく考えた方がいいかもしれない。


上場株式の優遇税率の特例

実は、これについてのある程度明快な回答は、Yomiuri Onlineの@Money(アット・マネー)のマネー相談室のコーナーのQ&Aと、海外口座情報交換のページの「海外口座を伸ばす」の中に「日本国内での税金について」というのがあるが、よく読むと言ってることが全く違うことに気づく。

Yomiuri Onlineにおける回答は

(アメリカの)親会社がアメリカの証券市場(ナスダックを含む)で上場しているのであれば、その株式の売却に関しては(アメリカの証券会社を通したとしても)確定申告の際に(平成15年証券税制改正に伴う)特例(税率の軽減)をうけることができます
証券会社からの売却の計算書を元に書類を作成し、それらの資料は保管しておいてください。

一方、海外口座情報交換のページでは

為替差損益も含め株式や株式投資信託を売買して得た値上がりや値下がり売却損益である譲渡損益についてですが、これは国内証券業者を通さない売買の場合には、上場、非上場に関わらず私募扱いと同じ20%の申告分離課税として確定申告しなければなりません

とある。
どちらが正しいのかと思って、税務署に聞くと、くだんのサイトのBank Abroad氏が嘆くように場所によって言うことがマチマチで面食らうことになる。
私が聞いたのは外国人や金持ちが多そうな東京都区内の税務署(間違ってもそういうイメージのない所轄税務署に聞いてはいけない。この質問は税務署員にとっても滅多にないものと心得た方がいい。)なのだが、それでも言うことは違うし、ある意味、自信を持って回答される。

それはなぜかと言うと、「外国証券市場に上場されている株式」を国内の証券会社、例を挙げればイートレード証券とか楽天証券、あるいはユナイテッドワールド証券といったところを通じて売買した場合は、特例の対象となるので、税務署員がそういう思い違いをすれば、答えはYESとなる。
逆にこの税制に精通している(おそらく、その人自身も海外投資をやっているかもしれないが)人なら明確に、「国内で登録されている証券会社を通せば特例の対象で、そうでなければ特例は適用されない」という答えが返ってくる。

そこで、私は国税庁タックスアンサー(税金相談)から所得税の中の「株式投資等と税金」を見てみることにした。
ここで曲者なのが国税庁の言う「金融商品取引業者等を通じた上場株式等の譲渡」の定義と、根拠条文である租税特別措置法(略称:租法または措置法)の「第二章第四節第九款 有価証券の譲渡による所得の課税の特例等」にある各条文である。
はっきり言って、ほとんどの人間、たとえ税理士でもこれを読んで理解するのは嫌になるだろう。
でも、これを読まないことには言うことにバラツキがある税務署と、インターネットサイトに引っかき回されることになるのだから、お付き合い願いたい。

租税特別措置法
第37条の10(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成十六年一月一日以後に株式等の譲渡(金融商品取引法第二十八条第八項第三号イに掲げる取引の方法により行うものを除く。以下この項、次条、第三十七条の十一の二及び第三十七条の十二の二において同じ。)をした場合には、当該株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(第三十二条第二項の規定に該当する譲渡所得を除く。第三項及び第四項において「株式等に係る譲渡所得等」という。)については、所得税法第二十二条及び第八十九条並びに第百六十五条の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)に対し、株式等に係る課税譲渡所得等の金額(株式等に係る譲渡所得等の金額(第六項第五号の規定により読み替えられた同法第七十二条から第八十七条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)をいう。)の百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。

以下の条文については適用期限(平成20年12月31日)をもって廃止されたが、経過措置として2009年(平成21年)1月1日から2011年(平成23年)12月31日までの金融商品取引業者を通じた売却分については同様の措置が講じられている。(国税庁-金融・証券税制の改正の概要
ここでいう新租税特別措置法第37条の12の2第2項各号に掲げる上場株式等の譲渡というのは、言うまでもなく、金融商品取引法第二条第九項に規定する金融商品取引業者又は同法第二条第十一項に規定する登録金融機関を通して行った取引のことを指す。

租税特別措置法-平成20年改正法附則
第169回常会-所得税法等の一部を改正する法律(平成20年4月30日法律第23号)
第43条(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例に関する経過措置)
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が平成二十一年一月一日前に行った旧租税特別措置法第三十七条の十一第一項に規定する上場株式等の譲渡については、なお従前の例による。
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成二十一年一月一日から平成二十五年十二月三十一日までの間に新租税特別措置法第三十七条の十一の三第二項に規定する上場株式等(以下この条及び附則第四十五条において「上場株式等」という。)の譲渡(新租税特別措置法第三十七条の十の二第二項に規定する譲渡をいう。)のうち新租税特別措置法第三十七条の十二の二第二項各号に掲げる上場株式等の譲渡をした場合には、当該上場株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(新租税特別措置法第三十二条第二項の規定に該当する譲渡所得を除く。)については、新租税特別措置法第三十七条の十第一項前段の規定により同項前段に規定する株式等に係る譲渡所得等の金額のうち当該上場株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)に対し課する所得税の額は、同条第一項前段の規定にかかわらず、上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡所得等の金額(次項第一号の規定により読み替えられた所得税法第七十二条から第八十七条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)をいう。)の百分の七に相当する額とする。
前項の規定の適用がある場合には、次に定めるところによる。
新租税特別措置法第三十七条の十第六項の規定の適用については、同項第一号中「特例)」とあるのは「特例)(所得税法等の一部を改正する法律(平成二十年法律第二十三号。以下「平成二十年改正法」という。)附則第四十三条第二項(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例に関する経過措置)の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)」と、同項第五号中「これらの規定」とあるのは「同法第七十一条から第八十六条までの規定」と、「あるのは、」とあるのは「あるのは」と、「とする」とあるのは「と、同法第八十七条第二項中「総所得金額」とあるのは「総所得金額、株式等に係る譲渡所得等の金額(当該株式等に係る譲渡所得等の金額のうちに平成二十年改正法附則第四十三条第二項(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例に関する経過措置)に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額がある場合には、当該株式等に係る譲渡所得等の金額から当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額を控除した残額又は当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額)」とする」とする。
新租税特別措置法第三十七条の十一の五第一項の規定の適用については、同項中「第三十七条の十第一項」とあるのは、「第三十七条の十第一項(所得税法等の一部を改正する法律(平成二十年法律第二十三号)附則第四十三条第二項の規定により適用される場合を含む。)」とする。

租税特別措置法
第37条の11(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)[適用廃止]
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成十五年一月一日から平成二十年十二月三十一日までの間に第三十七条の十第二項に規定する株式等金融商品取引所に上場されているものその他これに類するものとして政令で定めるもの並びに同項第五号に規定する株式等証券投資信託(第三条の二に規定する特定株式投資信託を除く。)でその設定に係る受益権の募集が公募(金融商品取引法第二条第三項に規定する取得勧誘のうち同項第一号に掲げる場合に該当するものとして政令で定めるものをいう。)により行われたものの受益権及び特定投資法人(その規約に投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十六項に規定する投資主の請求により同条第十四項に規定する投資口の払戻しをする旨が定められており、かつ、その設立の際の同項 に規定する投資口に係る金融商品取引法第二条第三項に規定する有価証券の募集が同項に規定する取得勧誘であつて同号に掲げる場合に該当するものとして政令で定めるものにより行われた投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人をいう。)の同法第二条第十四項に規定する投資口に限る。以下この条から第三十七条の十一の四まで及び第三十七条の十二の二において「上場株式等」という。の譲渡のうち次に掲げる上場株式等の譲渡をした場合には、当該上場株式等のこれらの譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(第三十二条第二項の規定に該当する譲渡所得を除く。)については、第三十七条の十第一項前段の規定により株式等に係る譲渡所得等の金額のうち当該上場株式等のこれらの譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この項において「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」という。)に対し課する所得税の額は、同条第一項前段の規定にかかわらず、上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡所得等の金額(第三項の規定により読み替えられた所得税法第七十二条 から第八十七条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)をいう。)の百分の七に相当する額とする。
金融商品取引法第二条第九項に規定する金融商品取引業者(同法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業を行う者に限る。次号及び第三十七条の十一の三第三項第一号において「金融商品取引業者」という。)又は同法第二条第十一項に規定する登録金融機関(第三号において「登録金融機関」という。)への売委託により行う上場株式等の譲渡
金融商品取引業者に対する上場株式等の譲渡
登録金融機関又は投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十一項に規定する投資信託委託会社に対する上場株式等の譲渡で政令で定めるもの
第三十七条の十第三項又は第四項各号に規定する事由による上場株式等の譲渡として政令で定めるもの
上場株式等を発行した法人の行う株式交換又は株式移転による当該法人に係る法人税法第二条第十二号の六の四に規定する株式交換完全親法人又は同条第十二号の七に規定する株式移転完全親法人に対する当該上場株式等の譲渡
上場株式等を発行した法人に対して会社法第百九十二条第一項の規定に基づいて行う同項に規定する単元未満株式の譲渡その他これに類する上場株式等の譲渡として政令で定めるもの
上場株式等を発行した法人に対して会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第六十四条の規定による改正前の商法第二百二十条ノ六第一項の規定に基づいて行う同項に規定する端株の譲渡
上場株式等を発行した法人が行う会社法第二百三十四条第一項又は第二百三十五条第一項(これらの規定を他の法律において準用する場合を含む。)の規定その他政令で定める規定による一株又は一口に満たない端数に係る上場株式等の競売(会社法第二百三十四条第二項(同法第二百三十五条第二項又は他の法律において準用する場合を含む。)の規定その他政令で定める規定による競売以外の方法による売却を含む。)による当該上場株式等の譲渡
前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第一項の規定の適用がある場合における第三十七条の十第六項の規定の適用については、同項第一号中「特例)」とあるのは「特例)(同法第三十七条の十一第一項(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)」と、同項第五号中「これらの規定」とあるのは「同法第七十一条から第八十六条までの規定」と、「あるのは、」とあるのは「あるのは」と、「とする」とあるのは「と、同法第八十七条第二項中「総所得金額」とあるのは「総所得金額、株式等に係る譲渡所得等の金額(当該株式等に係る譲渡所得等の金額のうちに租税特別措置法第三十七条の十一第一項(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額がある場合には、当該株式等に係る譲渡所得等の金額から当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額を控除した残額又は当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額)」とする」とする。

まず、「金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者」とは、内閣総理大臣の登録を受けた業者であるため、 少なくとも日本国内に本支店がない証券会社や銀行、投資会社がこれに該当するとは思えない。
事実、これらは日本証券業協会加盟の証券会社や金融機関などを指すので、当然のことながらアメリカや香港のオンライン証券会社はこれには該当しない。

そして、租税特別措置法第37条の10で、2004年(平成16年)1月以降に生じた株式譲渡所得は、申告分離課税で所得税率は15%(参考までに地方税法の規定による住民税は5%)ということが書いてあり、これが原則となる。
次に、平成20年改正法附則第43条(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例に関する経過措置)及び旧租税特別措置法第37条の11(上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)は、2003年(平成15年)1月1日から2011年(平成23年)12月31日までの間に株式を売却して得た利益に対する税率が軽減され、所得税率が7%(参考までに地方税法に基づく地方税(住民税)率は3%)になるという例外規定だ。

つまり、外国のオンライン証券会社を通じて売買した株式譲渡益に対しては、税率表の本則である20%(所得税15%、住民税5%)が適用されるため、外国株を取引するとしても、少なくとも経過措置が終了する2011年(平成23年)までは、日本の証券会社を通して取引した方が得な場合が多いと言えないだろうか。

要するに、海外投資の掲示板でやり取りされている取引手数料が安いとか、為替のスプレッド(手数料)が小さいとかいう議論があるが、そこで得たメリットは株式の譲渡益課税のときに逆転する可能性もあるということは頭に入れておいた方がいいだろう。
従って、それ以外に海外口座を開く意義が自分で見出せなければ、わざわざ日本在住の者が苦労して英語でトレードする必要はないと言えよう。

もしかすると、1998年(平成10年)4月の金融ビッグバンで海外口座を開けるようになって以来、密かに続く富裕層の資産の流出の歯止めとするためにこういう法律を作ったのかもしれない。
しかし、これで根本的な流れが止められるとは私には思わないがいかがだろうか。


円貨換算のルール

第164通常国会において「所得税法等の一部を改正する等の法律(法律第10号-平成18年3月31日)」が改正され、それに付随する所得税基本通達第4款の2により、外貨建資産の売買は、ともに仲値でもって計算することになったことにより、「外貨建取引の換算」のルールが変更になった。

一方、国内の証券会社や銀行(金融商品取引業者)を通じた株式等の譲渡所得を計算する上では、「外貨で表示されている株式等に係る譲渡の対価の額等の邦貨換算」の通達が適用となり、外貨建株式を買うときは顧客直物電信売相場(TTS=telegraphic transfer selling rate)を、売るときは顧客直物電信買相場(TTB=telegraphic transfer buying rate)で計算することになる。
実際は、証券会社などから計算書などが送られてくると思うのでそれで申告することになるだろう。

この部分について、私は解釈を間違えていたようで、今までTTS、TTBを使って損益を計算できないと書いていたが、国内の証券会社や銀行(金融商品取引業者)を通じた外国株取引については、従来の方法を取れるため、厳密に言えば、この点でも外国口座を通じた取引は不利と言うことが言えるかもしれない。

なぜ、このように適用される通達が違うかと言えば、あくまで推測の域を超えないが、海外口座で株式等を売買する人の資金は、一般的に海外送金する段階で外貨へ換えており、その資金は再び日本に還流することがないと見なして、売買ともに一律に仲値を適用し、仮に資金が還流しても為替差益(差損)は無視しようというスタンスなのではなかろうか。
要するに、一度海外に出た資金は日本に帰らない、税務当局もそう見なしていると考えれば辻褄は合うのかもしれない。

所得税法
第57条の3(外貨建取引の換算)
居住者が、外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいう。以下この条において同じ。)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。次項において同じ。)は当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行う居住者が、先物外国為替契約等(外貨建取引によつて取得し、又は発生する資産若しくは負債の金額の円換算額を確定させる契約として財務省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)により外貨建取引によつて取得し、又は発生する資産若しくは負債の金額の円換算額を確定させた場合において、当該先物外国為替契約等の締結の日においてその旨を財務省令で定めるところによりその者の当該業務に係る帳簿書類その他の財務省令で定める書類に記載したときは、当該資産又は負債については、当該円換算額をもつて、前項の規定により換算した金額として、その者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額を計算するものとする。
前項に定めるもののほか、外貨建取引の換算の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税基本通達第4款の2
法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算(同条第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下57の3-7までにおいて「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下57の3-7までにおいて「電信買相場」という。)の仲値(以下57の3-7までにおいて「電信売買相場の仲値」という。)による。

ただし、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係るこれらの所得の金額(以下57の3-3までにおいて「不動産所得等の金額」という。)の計算においては、継続適用を条件として、売上その他の収入又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の経費(原価及び損失を含む。以下57の3-4までにおいて同じ。)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。
関連条文
  • 所得税法施行令第167条の6
  • 所得税法施行規則第36条の7、第36条の8

国内の証券会社や銀行を通じた外貨建株式等の取引の際の換算のルール

国内の証券会社や銀行を通じた株式等の譲渡所得の計算においては、国税庁の「法令解釈通達」の中にある「措置法通達」-「措置法第37条の10《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》関係」が外貨換算の根拠となる。
要するに、金融商品取引業者とは国内の証券や銀行のことを指すからである。

外貨で表示されている株式等に係る譲渡の対価の額等の邦貨換算
租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱い
37-10-8 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に当たり、株式等の譲渡の対価の額が外貨で表示され当該対価の額を邦貨又は外貨で支払うこととされている場合の譲渡の価額は、外貨で表示されている当該対価の額につき金融商品取引業者と株式等を譲渡する者との間の外国証券の取引に関する外国証券取引口座約款において定められている約定日におけるその支払をする者の主要取引金融機関(その支払をする者がその外貨に係る対顧客直物電信買相場を公表している場合には、当該支払をする者)の当該外貨に係る対顧客直物電信買相場により邦貨に換算した金額による。
なお、取得の対価の額の邦貨換算については、対顧客直物電信売相場により、上記に準じて行う。(平19課資3-5、課個2-15、課審6-9改正)

株式等の取得の約定日が平成10年3月以前である場合には、外国為替公認銀行の公表した対顧客直物電信売相場によることに留意する。
外貨建取引による株式の譲渡による所得
国税庁-所得税関係質疑応答集
照会要旨 外国株式を外貨建てにより譲渡した場合、その譲渡により生じた所得のうち、その外国株式の保有期間の為替相場の変動による損失を「株式等に係る譲渡所得等の金額」から区分して雑所得の対象とする必要がありますか。
回答要旨 外国株式等の譲渡対価の邦貨換算額相当額が、株式等の譲渡に係る収入金額として取り扱われることとなるため、為替差損益を雑所得として区分する必要はありません。

ここでいう顧客直物電信買相場とは、外貨から円に換えるレート、つまり金融機関などが外貨を顧客から買うレートで、英語でTTB(telegraphic transfer buying rate)のこと、顧客直物電信売相場は逆で円から外貨に換えるレート、英語でTTS(telegraphic transfer selling rate)のことだ。

日本の金融機関や証券会社で外貨建ての商品を売買したときは、取引したところでそういったものも含めた確定申告用の計算書を送ってくるが、外国のオンライン証券会社を使ったりしたときは、円貨換算は自分でやらないといけない。
そこでどのレートを使うかは、税務署に聞いたところ、国税庁は三菱東京UFJ銀行の公表レートを換算レートとして使っているとのことなので、それに準じてやればいいということになる。
ちなみにみずほ銀行の時系列為替データは自行のサイトで公表しているので参考にするといいだろう。
一般に日系金融機関の外貨換算レ-トは、三菱東京UFJ銀行に準じており、みずほ銀行のデータを使っても問題はないと思われる。
個人サイトとしてはシティバンクの為替の時系列データを扱ったGaku氏のホームページが有益な情報源となるだろう。

ただ気をつけないといけないのは、みずほ銀行のサイトからダウンロードしたデータは仲値(interbank rate)であり、TTSやTTBを計算するときは、為替スプレッドを足し引きして算出する必要があるということだ。
例えばUSドルならTTSがプラス1円、TTBはマイナス1円という具合に公示相場から類推して計算することになる。
ちなみに、このTTSとTTBはそのまま海外旅行に使うトラベラーズチェック(TC)を売買するときのレートにもなっている。

最後に次に紹介する「みなし取得費」を使った場合の主要通貨の換算レートを書いておく。
このレートは2001年(平成13年)10月1日17時59分の時点でのシティバンクの為替レートだ。(過去の為替レートについてはテレホンバンキングで照会すれば教えてくれる)
ちなみに、上記のGaku氏のホームページに掲載されたレートとの差異は、シティバンクは為替レートを1日に数回変更するので、情報収集した時間帯による差異と考えてもらいたい。
どちらにしろ国税庁が参考資料として使う東京三菱銀行のものとは違うだろうが、これを申告で使って撥ねられるということはないと思う。
但し、確定申告書には出典として「シティバンク」を書いておいた方がトラブルにならなくていいだろう。

2001年10月1日17時59分の時点でのシティバンクの為替レート
通貨 TTS 仲値 TTB 為替手数料 備考
米ドル 120.7 119.7 118.7 1円 -
ユーロ 110.5 109.0 107.5 1円50銭 現在の為替手数料は1円
イギリスポンド 178.65 176.15 173.65 2円50銭 現在の為替手数料は1円
スイスフラン 74.55 73.65 72.75 90銭 現在の為替手数料は1円
香港ドル 15.75 15.35 14.95 40銭 -

上場株式取得費の特例
[適用期限(平成22年12月31日)をもって廃止]

これだけは、海外口座の取引であっても適用されるようで、ほかの特例のように「金融商品取引業者」への売委託による譲渡に限るという条項がない。
但し、取引手数料などの必要経費は日本での売却と同じで、「みなし価格」に含まれるため、例えば旧Datek (現TD Ameritrade)でトレードしていた場合にかかっていた9.99ドル(1206円)を加算することはできない。

この規定は、2001年(平成13年)9月30日以前から引き続き所有している上場株式等(同年10月1日時点で上場されていたものに限る。)を2003年(平成15年)1月1日から2010年(平成22年)12月31日までの間に譲渡した場合に、その上場株式の取得費は、2001年(平成13年10月1日)の終値の80%で計算できるというものだ。
これについては、買ったときの取引報告書(trade confirmation)が紛失してしまっているような長期保有の株式の売却利益の計算に使える便利な規定で、たとえ取引報告書があっても、自分にとって有利な方を選択できるという優れものだ。(日経マネーデジタル-新証券税制マスター

また、海外株取引の取引報告書(trade confirmation)がなくなっているケースについては、この規定を類推適用させ、取得費を計算することもできる。
しかしながら2001年(平成13年)10月というのは日経225種平均株価(998407)もダウ平均(Dow Jones Industrial Average/^DJI)もナスダック(NASDAQ Composite/^IXIC)もあまり平均株価がパッとせず、2002年の底値で拾った株以外は、取引報告書がないことの損失の方が大きいように思える。
特にITバブル期に高値掴みした銘柄については、どこの国の株式にかかわらず、得することはあまりないだろう。

租税特別措置法
第37条の11の2(平成十三年九月三十日以前に取得した上場株式等の取得費の特例)
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成十三年九月三十日以前から引き続き所有していた上場株式等(同年十月一日において上場株式等に該当していたものに限るものとし、政令で定めるものを除く。以下この項及び次項において同じ。)を平成十五年一月一日から平成二十二年十二月三十一日までの間に譲渡をした場合における当該上場株式等の譲渡による譲渡所得(第三十二条第二項の規定に該当するものを除く。)の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法第三十八条 、第四十八条及び第六十一条の規定にかかわらず、当該上場株式等の平成十三年十月一日における価額として政令で定める金額の百分の八十に相当する金額とすることができる。
前項の規定の適用については、居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が平成十三年十月一日以後に次に掲げる事由により取得した上場株式等は、その者が引き続き所有していたものとみなす。
贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
株式の分割又は併合
第三十七条の十第三項第一号に規定する法人の同号の株主等(以下この号において「法人の株主等」という。)のその法人の合併(当該法人の株主等に同項第一号に規定する合併法人(以下この号において「合併法人」という。)の株式若しくは出資又は合併法人との間に同項第一号に規定する政令で定める関係がある法人の株式若しくは出資(以下この号において「合併親法人株式」という。)のいずれか一方のみの交付がされたもの(当該法人の株主等に当該合併法人の株式若しくは出資又は合併親法人株式及び当該法人の株主等に対する株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配として金銭その他の資産の交付がされたもの並びに合併に反対する当該法人の株主等に対するその買取請求に基づく対価として金銭その他の資産の交付がされるものを含む。)に限る。)による当該合併法人の株式若しくは出資又は合併親法人株式の取得その他これに類するものとして政令で定める事由
前三号に掲げるもののほか、政令で定める事由
前項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
租税特別措置法施行令
第25条の10(平成十三年九月三十日以前に取得した上場株式等の取得費の特例)
法第三十七条の十一の二第一項に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
法第二十九条の二第一項 本文の規定の適用を受けて取得をした同項に規定する特定新株予約権等に係る株式
法第三十七条の十三の三第一項の規定の適用を受ける同項の特定株式
法第三十七条の十一第一項に規定する株式等証券投資信託の受益証券(証券取引法第二条第十六項に規定する証券取引所(次号において「証券取引所」という。)に上場されているもの及び前条第一項各号に掲げるものを除く。)
法第三十七条の十一第一項に規定する特定投資法人の投資口(証券取引所に上場されているもの及び前条第一項各号に掲げるものを除く。)
法第三十七条の十一の二第一項に規定する平成十三年十月一日における価額として政令で定める金額は、次の各号に掲げる株式等の区分に応じ当該各号に定める金額をその株式等の一単位当たりの価額として計算した金額とする。
取引所売買株式等(その売買が主として証券取引所(証券取引法第二条第十六項に規定する証券取引所及びこれに類するもので外国の法令に基づき設立されたものをいう。以下この号において同じ。)において行われている株式等をいう。以下この号において同じ。)

証券取引所において公表された平成十三年十月一日における当該取引所売買株式等の最終の売買の価格(公表された同日における最終の売買の価格がない場合には、公表された同日における最終の気配相場の価格とし、その最終の売買の価格及びその最終の気配相場の価格のいずれもない場合には、同日前の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格が公表された日で同年十月一日に最も近い日におけるその最終の売買の価格又はその最終の気配相場の価格とする。)に相当する金額
店頭売買株式等(店頭売買登録銘柄として登録された株式等をいう。以下この号において同じ。)

証券取引法第七十九条の三の規定により公表された平成十三年十月一日における当該店頭売買株式等の最終の売買の価格(公表された同日における最終の売買の価格がない場合には、公表された同日における最終の気配相場の価格とし、その最終の売買の価格及びその最終の気配相場の価格のいずれもない場合には、同日前の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格が公表された日で同年十月一日に最も近い日におけるその最終の売買の価格又はその最終の気配相場の価格とする。)に相当する金額
その他価格公表株式等(前二号に掲げる株式等以外の株式等のうち、価格公表者(株式等の売買の価格又は気配相場の価格を継続的に公表し、かつ、その公表する価格がその株式等の売買の価格の決定に重要な影響を与えている場合におけるその公表をする者をいう。以下この号において同じ。)によつて公表された売買の価格又は気配相場の価格があるものをいう。以下この号において同じ。)

価格公表者によつて公表された平成十三年十月一日における当該その他価格公表株式等の最終の売買の価格(公表された同日における最終の売買の価格がない場合には、公表された同日における最終の気配相場の価格とし、その最終の売買の価格及びその最終の気配相場の価格のいずれもない場合には、同日前の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格が公表された日で同年十月一日に最も近い日におけるその最終の売買の価格又はその最終の気配相場の価格とする。)に相当する金額
前三号に掲げる株式等以外の株式等

その株式等の平成十三年十月一日における価額として合理的な方法により計算した金額

法令の解釈についての細部に関しては以下の通達がある。
日本株を取引している場合の特定口座に入っているものについては、こういう計算をする必要がないが、海外口座での株式取引については、全部自分でやらないといけない。
今後のためにエクセルで数式を埋め込んで自動計算できるようにするといいだろう。

租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱い
1単位当たりの取得価額の端数処理
37-10-15 所得税法令第105条第1項の規定により計算された1単位当たりの取得価額又は同令第118条第1項の規定により計算された1単位当たりの金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げるものとする。
上場株式等の取得費の特例の選択
37-11-2-2 「上場株式等の取得費の特例」の適用がある上場株式等の譲渡をした場合において、その譲渡をした上場株式等に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費について同特例を適用するときは、その譲渡をした上場株式等のうち同一銘柄の上場株式等の全部について同特例を適用して計算することとなるので、その譲渡をした上場株式等の一部については実際の取得価額により、他の部分については同特例を適用して計算することはできないことに留意する。
特例の対象とならない同一銘柄の上場株式等とともに譲渡した場合の取得費の計算
37-11-2-3 譲渡をした同一銘柄の上場株式等のうちに、「上場株式等の取得費の特例」の適用がある上場株式等とその適用がない上場株式等とが含まれる場合には、当該適用がある上場株式等については同特例を適用し、当該適用がない上場株式等については所得税法第38条、第48条及び第61条の規定により、それぞれ取得費を計算する。
なお、当該適用がない上場株式等に係る部分の取得費の計算に当たっては、当該適用がある上場株式等を含めて計算することに留意する。
【計算例】 キャノン(7751)の場合
取得日 株数 単価 取得価額
A H8(1996).5.10 2,000 2,010 4,020,000
B H9(1997).11.12 1,000 2,850 2,850,000
C H14(2002).10.11 1,000 3,800 3,800,000
合計(単価は平均) 4,000 2,668 10,670,000
譲渡日 株数 単価 譲渡価額
H16(2004).7.20 2,000 5,500 11,000,000
【原則】 10,670,000円(合計取得価額)÷4,000株(取得株数)=2,668円(平均取得価額・端数切り上げ)
2,668円(平均取得価額)×2,000株(譲渡株数)=5,336,000円(取得費)
【特例】 A及びBの取得価額(2001.10.1の終値の80%)
3,500円×80%=2,800円
2,800円×2,000株(譲渡株数)×75%=4,200,000円
Cの取得分⇒総平均法に準ずる方法による計算
10,670,000円(合計取得価額)÷4,000株(取得株数)=2,668円(平均取得価額・端数切り上げ)
2,668円(平均取得価額)×2,000株(譲渡株数)×25%=1,334,000円
4,200,000円+1,334,000円=5,534,000円(取得費)

特定上場株式等の譲渡所得非課税の特例
[適用期限(平成19年12月31日)をもって廃止]

この特例措置は、株価がバブル崩壊後の最安値を更新し続ける状況下で、日本株を「清水の舞台から飛び下りて買った」勇者に対するご褒美だと思ってもらうとわかりやすい。
そして国税庁タックスアンサー(税金相談)に、特例の対象となる株式は、「証券業者(金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者)」を通じて売却したものと明記されているので、これは租税特別措置法を見るまでもなく、外国のオンライン証券会社を通じて売ったものは対象外だ。

租税特別措置法
第37条の14の2(特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税)[適用廃止]
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成十七年一月一日から平成十九年十二月三十一日までの間に、上場株式等(第三十七条の十第三項に規定する株式等のうち証券取引法第二条第十六項に規定する証券取引所に上場されているものその他これに類するものとして政令で定めるものをいうものとし、その譲渡が、第三十七条の十一の四第一項に規定する源泉徴収源泉徴収選択口座(以下この項において「源泉徴収選択口座」という。)に係る同条第一項に規定する特定口座内保管上場株式等の譲渡に該当するもの及び源泉徴収選択口座において同項に規定する差金決済の処理が行われた同項に規定する信用取引等に係る上場株式等の譲渡に該当するものを除く。以下この項において同じ。)でその者が租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成十三年法律第百三十四号)附則第一条ただし書に規定する日から平成十四年十二月三十一日までの間に取得(購入又は払込みによるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)をしたものとして政令で定めるもの(その取得の時において上場株式等に該当していたものに限る。以下この条において「特定上場株式等」という。)の譲渡(これに類するものとして政令で定めるものを含むものとし、証券取引法第二条第二十項 に規定する有価証券先物取引の方法により行うものを除く。以下この項及び第三項において同じ。)のうち次に掲げる特定上場株式等の譲渡をした場合には、その年においてこれらの譲渡をした特定上場株式等のうち、次項に定めるところにより提出した同項に規定する特定上場株式等非課税適用選択申告書にこの項の規定の適用を受けるものとして記載されたものでその取得対価の額(購入した特定上場株式等についてはその購入の代価の額をいい、払込みにより取得をした特定上場株式等についてはその払い込んだ金額をいう。以下この項及び次項において同じ。)の合計額が千万円(その年の前年又は前々年においてこれらの譲渡をした特定上場株式等につき次項に規定する特定上場株式等非課税適用選択申告書が提出されている場合には、政令で定めるところにより、千万円からこの項の規定の適用を受けるものとして当該特定上場株式等非課税適用選択申告書に記載された特定上場株式等に係る取得対価の額の合計額を控除した残額。次項において「非課税適用購入限度額」という。)に達するまでのものの当該譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(第三十二条第二項の規定に該当する譲渡所得を除く。)については、所得税を課さない。
金融商品取引業者(第三十七条の十一第一項第一号に規定する金融商品取引業者をいう。次号において同じ。)又は金融商品取引法第二条第十一項に規定する登録金融機関への売委託により行う特定上場株式等の譲渡
金融商品取引業者に対する特定上場株式等の譲渡
第三十七条の十第三項又は第四項各号に規定する事由による特定上場株式等の譲渡として政令で定めるもの
特定上場株式等を発行した法人の行う株式交換又は株式移転による当該法人に係る法人税法第二条第十二号の六の四に規定する株式交換完全親法人又は同条第十二号の七に規定する株式移転完全親法人に対する当該特定上場株式等の譲渡
特定上場株式等を発行した法人に対して会社法第百九十二条第一項の規定に基づいて行う同項に規定する単元未満株式の譲渡その他これに類する特定上場株式等の譲渡として政令で定めるもの
特定上場株式等を発行した法人に対して会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第六十四条 の規定による改正前の商法第二百二十条ノ六第一項の規定に基づいて行う同項に規定する端株の譲渡
特定上場株式等を発行した法人が行う会社法第二百三十四条第一項又は第二百三十五条第一項(これらの規定を他の法律において準用する場合を含む。)の規定その他政令で定める規定による一株又は一口に満たない端数に係る特定上場株式等の競売(会社法第二百三十四条第二項(同法第二百三十五条第二項又は他の法律において準用する場合を含む。)の規定その他政令で定める規定による競売以外の方法による売却を含む。)による当該特定上場株式等の譲渡
前項の規定は、その年において同項の譲渡をした特定上場株式等のうち同項の規定の適用を受けようとする特定上場株式等の取得対価の額を証する書類として財務省令で定める書類の添付がある次に掲げる事項を記載した申告書(以下この項において「特定上場株式等非課税適用選択申告書」という。)を、その者の住所地(国内に住所を有しない者にあつては、政令で定める場所)の所轄税務署長(その年分の所得税につき確定申告書を提出すべき場合又は提出する場合には、当該確定申告書に係る所得税の納税地の所轄税務署長)に、その年の翌年一月一日から同年三月十五日までの間(当該確定申告書(確定申告期限のあるものに限る。)を提出すべき場合又は提出する場合には、当該確定申告書の提出をすることができることとされる日から当該確定申告書に係る確定申告期限までの間)に提出した場合(当該所轄税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該特定上場株式等非課税適用選択申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)に限り、適用する。
提出者の氏名及び住所(国内に住所を有しない者にあつては、財務省令で定める場所)
前項の規定の適用を受ける旨
前項の規定の適用を受けようとする特定上場株式等の種類、銘柄及び数
前号の特定上場株式等の取得対価の額及びその合計額
その年分の非課税適用購入限度額
前二号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項
前項の特定上場株式等非課税適用選択申告書は、政令で定める場合を除き、同一年においてした特定上場株式等の譲渡による所得について、重ねて提出することができない。
前項に定めるもののほか、第一項及び第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

以上のことから日本の証券会社を通さないで譲渡した株式については、租税特別措置法に定める特例措置のほとんどが受けられないことがわかったと思う。
つまり、これらの株(式は所得税の確定申告書の株式譲渡所得の計算にあたっては「未公開分」として計上することになるのだ。

それでは外国の証券会社にある株式を国内の証券会社に移管して売却したらどうなるだろうか。
日本の証券会社の外国株投資口座に外国の証券会社からの移管が可能かどうか未確認なので、何とも言えないが、それができるようなら、法律を読む限り、特例を受けることができそうだ。
しかしながら、そういった申告書をすんなりと税務当局が通すかどうかは、疑問符がつくところなのだ。
もし、それがOKならば1998年(平成10年)4月の金融ビッグバン以降に外国の証券会社を通じて投資した株の損益に関して、隠れた節税方法の1つとなろう。


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