日本三名泉というのがあるのをご存知だろうか。
実のところ、私も下呂温泉へ行って「日本三名泉 発祥乃地」という碑を見るまで知らなかったのだが、群馬の草津温泉、兵庫の有馬温泉、そして岐阜の下呂温泉がそうだと言う。
由来は、徳川家康以下4代の将軍に使えた儒学者・林羅山が、摂津・有馬温泉にて作った詩文集第三に、「諸州多有温泉、其最著者、摂津之有馬、下野之草津、飛騨之湯島(下呂)是三処也」書いたことだと言われている。
偶然にもこれら三名泉に行ったのはウェブサイトを始めてからのことなので、それらの記録もあったりする。(笑)
草津温泉は2004年12月14日「草津温泉はやっぱりいい」ということで友人との忘年旅行、有馬温泉は2007年6月9日・10日「hideya氏帰国オフ」、2009年2月13日~16日「mixi仲間との京都オフ」の2回行っているようだ。
そして、今回の下呂温泉で日本三名泉を制覇(!?)というわけである。
だから何なんだ、と言われればそれまでだが、いずれも日本は言うに及ばず、世界にも誇れる名湯であることは間違いないだろう。
しかしながら、私が下呂に行ったのが平日であったためか、町を歩いている人はあまりなく、寂しい限りであった。
今まで行った草津や有馬はいずれも土日でそれなりの人出があったので、、「観光産業は夏休みやGWなどの休日100日は黒字だが、残りの265日は赤字。」という日本の観光産業が抱える構造的な問題を肌身で感じることができる。
そうであるなら、せっかく由緒ある名湯、近隣観光地とタイアップして外国のガイドブックにもっとPRしたらいいのにと思う。
有馬温泉は京都・大阪・神戸、下呂温泉は高山(最近は外国人観光客が増えているらしい)がいいだろうか。
草津温泉だけは外国人が好む観光地が近くにないので厳しいかもしれないが、欧米人が好きなトレッキングツアーとセットにして売り出したりできないものかと思う。
今日から1978年以来32年ぶりに羽田空港からの国際定期便が本格的に出発することがニュースで流れているが、論調は日本人渡航者がいかに便利になるかという視点で報じられている。
これが外国からのアクセスも便利になるという書き方にならないと、日本の観光地は寂れる一方になるような気がしてならない。
先月行ったスペインのバルセロナ、PIGS危機(Portugal、Italy、Greece、Spainの4カ国を襲った経済財政危機)などと言われても主要ホテルが予約で埋まり、観光客が長蛇の列を作ったサグラダ・ファミリアを見るにつけ、そう感じざるを得ない。
私の手元に「アフリカを食い荒らす中国」という本がある。
この中では、冷戦が終わってから旧宗主国のフランスが政治的にも経済的にもアフリカから身を引いていったのとは全く対照的に、21世紀になってからは中国が深くコミットメントしていることについて書かれている。
その最も大きな理由は、プロローグに書かれているコンゴ共和国(Republic of the Congo)の大統領顧問セルジュ・モンブリ(Serge
Mombouli)が言う「中国人がくれるものはわかりやすい。欧米人がくれるのものは、目に見えない高貴な観念ばかりだ。電気も仕事もないところで、『透明性』や『グッド・ガバナンス』など何の役に立つのだろうか。民主主義では食えないのだ。(Tangible
development means you can see, you can touch. We need both. We cannot be
talking just about democracy, transparency, good governance. At the end
of the day, the population does not have anything to eat, does not have
water to drink, no electricity at night, no industry to provide work. So
we need both. People do not eat democracy. - Congo and China Forge Economic Partnership -)」という一言に集約されるだろう。
つまり、IMF(国際通貨基金)を始めとする国際機関や西側諸国の援助には「民主主義、良き統治、人権の尊重」という(アフリカ諸国の統治者にとっての)規制が課されているのに対し、中国の援助はそんなことを棚上げしても構わないものであるからだ。
元より「民主主義」や「人権」のない中国政府自身がそんなことを言える立場でない。
従って、お互い(中国人とアフリカの政府要人)が稼げればそれでいいではないか、という中国の態度は「民主主義、良き統治、人権の尊重」と全く無縁なアフリカの独裁者たちを大いに喜ばせた。
このことが中国のアフリカでの成功の一因であると同時に、特筆すべきは、「中国人がリスクを負い、長期的にアフリカと関わってきたことが大きい。」と筆者は書いている。
かつて、帝国主義時代にはアフリカを舞台に英国とフランスが覇権争いをしてきたが、今や中国と米国が覇権争いを演じていると言われている。
中国は経済力で、米国は軍事力で、ということらしいが、その中国にも大きなアキレス腱がある。
民衆の支持が得られていない、ということだ。
カネ(職)をくれるから付き合っている、というのが本音だろうか。
事実、独裁者や取り巻きは中国礼賛であっても、民衆レベルでは蛇蝎のように嫌われているというところもあるようだ。
一番嫌われている原因は「郷なんかクソくらえ、中国様のお通りだ!」という態度と、世界中で非難轟々の、マナーなんかクソ食らえと言わんばかりの「痰吐き」の習慣だ。
これがある限り、他国にも十分、もちろん日本にも付け入る隙はありそうなのだが、そうとは言えないのがアフリカたる所以だろう。
なぜ日本には無理なのか。
アフリカには今でも2つの「汚さ」があるからだ。一つは衛生面、もう一つは政治・行政の「汚さ」だ。
かつて、商社マンがアフリカの奥地までセールスに行ったと、言われた時代なら十分過ぎるほど可能性はあっただろう。
ところが、今では若者が「海外旅行」や「海外出張」すら嫌がるレベルになってしまったのだ。
それでアフリカに行け、などという出張命令を下したならば、黙って辞めてしまうか、「パワハラ」だと言ってモンスターペアレンツが出て来かねない(社会人の子どもに対して親が出てくる)のが日本の現状だ。
まして「清潔はビョーキだ」という藤田紘一郎氏に言わせるまでもなく、極度の清潔空間で育てられた日本人の多くは、アフリカなどに出張できるレベルではない。
それをクリアして、豪気な人がアフリカに行ったとする。
しかし、ここで問題なのは、日本の経済官僚、本社のお偉方の言う「コンプライアンス(compliance)」だ。
ここで一押し、贈り物をすれば契約が成就するという局面で、これは大きな足枷になる可能性が高い。
この「コンプライアンス(compliance)」という概念は、アフリカでは唾棄され足蹴にされるレベルにもかかわらず、水戸黄門の印籠のように大事にされる日本ではそれが大きな問題になるからだ。
事実、東南アジアで契約を取ろうと政府要人に贈り物をした企業が、贈賄の疑いがある、などと言われて処罰の対象になることがある。
私に言わせれば、相手国の政治体制が北欧のようにクリーンでないのに、そんなことを持ち出してどうする、と思うのだが、「コンプライアンス(compliance)」が呪文のように唱えられる内地では、そういった現場の声はかき消されてしまうだろう。
極端な場合、アフリカで契約を取ろうとした有能な社員は犯罪者のレッテルを貼られ、アフリカに進出を目論んだ企業は、それを断念させられ、内地の消費不況の中でさらに喘ぐ。
それに覇権争いには政府の全面的なバックアップも欠かせない。
しかし、トヨタ自動車がアメリカにおいて、「リコール問題」で苦境に陥った時の日本政府の態度を見る限り、期待すべくもない。
結果的に、この問題はトヨタ自動車の責任でなく、2010年7月31日付の読売新聞が報じたように、「トヨタ自動車の大量リコール(回収・無償修理)問題で、急加速の原因が運転者の操作ミスとみられる複数の調査結果を、米高速道路交通安全局(NHTSA)が意図的に公表しなかった疑いがある」ということのようだが、これがわかった後も政府がアメリカに抗議したということは報じられていない。
まさか、一民間企業のために政府が出る幕ではない、と考えたのではないだろうが、トヨタ自動車は日本を代表する企業なのだ。
これが他国の政府なら何もしないなどということは考えられない、と思うが、この日本政府の脆弱ぶりではアフリカで中国や米国と張り合うなどというのは夢物語である。
ましてアフリカで中国と利権が衝突したとき、日本政府がどういう態度を取るかは尖閣諸島の衝突事件を見れば容易に想像できるだろう。(苦笑)
去る15日の朝日新聞に「有休の取得率47% 祝日多く取りにくい? 2009年調査」という記事が掲載されていた。
ここで休暇のことを書いても、8月15日に書いた「ワークライフバランス、太平洋戦争の敗戦から65年目に思うこと」の重複になるし、少なくとも20年以上、この問題に関してウォッチしている私に言わせれば、いくら政府が法改正をしようが、キャンペーンを張ろうが、「お役所の掟」や「在日日本人」の著書がある故宮本政於氏が言ったような「滅私奉公の強要」と、それに対する「自粛」いう日本人サラリーマンに巣食う根本的なメンタリティを正さない限り、是正は不可能だと思っているので、今回は別の視点から書こうと思う。
いわゆるブラック企業と呼ばれる会社に間違って(!?)就職すると、人生が台無しになるとさえ言われる昨今、その実態を暴露した情報がウェブ上には散見する。
例えばブラック企業ランキングや夕刊フジに掲載されている“ブラック企業”従業員の告白などがこれに該当するだろうか。
これらの企業に勤めたからといって「人生が台無しになる」というのは大袈裟だと言う人もいるだろうが、私に言わせれば台無しである。
なぜなら「人生を楽しむ」ということが可能なのか、という視点から見た場合、クレスチョンマークが100あっても足らないからだ。
そこで逆の視点から物事を見ると、ブラック企業とは別世界の美味しい会社(!?)が見えてくる。
厚生労働省が発表した2009年の就労条件総合調査で有給休暇取得率74.2%と最も高かった電気・ガス・水道業、これらはいずれもライフライン系企業だ。
学生の就職先人気ランキングにも登場しないような地味な企業のため、公務員と違ってマスコミの餌食にもなりにくく、しかも好不況に左右されにくい。
もしかすると独占企業体にありがちなコネ入社組が多く、狭き門なのかもしれないが、ベンチャー(起業)よりも安定を望む日本人にとっては大きな狙い目とも言えるだろう。
ちなみに、先月泊まったバルセロナのChiquitoという日本人宿で、ある旅行者が私に言ったことがある。
「ここに泊まっている人で女性はほとんどが社会人ですね。勤め先は市役所とか勝ち組企業ってやつですね。」
私が「勝ち組企業」って例えばどんなところ、と聞くと、彼は「まあ、東京電力とか東京ガスとかですね。」と・・・
いかがだろうか。
「財産を無くす人財産を残せる人」の著者である事業再生研究会の会員、税理士の清水洋(しみず・ひろし)氏はこう言う。
「バブル崩壊過程で資産を失った人の多くは政府や企業、金融機関の言うことを聞いてきた『正直者』たちだった。本来ならば『正直者がいい結果を見る』社会でなければいけないのだが、これからもそうはならないだろう。従って、彼らの言うことだけを鵜呑みにするのではなく、むしろ彼らの言うことに常に疑問を持ち、反対のことをやった方がいい。」
彼の言葉はそのまま就職活動にも当てはまる。
本質的に企業の経営者と労働者は利害が対立するものだ。
従って、経営者の眼鏡に適うようにするための就活マニュアルには「人生を楽しむための就活術」なんて項目があるわけがない。
「普通の会社に勤める普通の人々」で書いたように、私に言わせれば、バブル経済の最盛期でさえ、日本の企業の中から今で言うブラック体質でないところを探し出すことは、ピーターリンチの言うテンバガー(ten-bagger=買値の10倍騰がるような優良株)を見つけるほどに難しかったのだ。
労働市場が未成熟な日本において人生を台無しにしないためには、地味なベタ記事から拾った地味な統計調査を参考にするといいだろう。
さもなければ、外国で稼げるだけのスキルを身につけるか、雇われないで済む(自分が経営者になる)方法を考えるしかないようだ。
有休の取得率47% 祝日多く取りにくい? 2009年調査 (2010.10.15 朝日新聞) |
厚生労働省が14日発表した就労条件総合調査によると、2009年の年次有給休暇の取得率は47.1%(前年比0.3ポイント減)で、10年連続で50%を下回った。 企業が従業員に与えた年間の平均日数は17.9日だったが、取得は8.5日。有給休暇を取ることをためらう傾向が続いている。 従業員30以上の企業6143社を対象に調査し、4406社が回答した。 企業規模別の取得率は1千人以上では53.5%だったが、300~999人は44.9%、100~299人は45.0%、30~99人は41.0%にとどまった。 業種別では電気・ガス・水道業が74.2%で最も高く、宿泊業・飲食サービス業が31.4%と最も低かった。 与えられる有給休暇日数が年間25~30日と多いイギリスなど欧州各国では、取得率はほぼ100%。 日本の場合、祝日などが欧州各国より年間4~7日多い。厚労省の担当者は、「祝日の多さも取得率伸び悩みの要因の一つになっている」と分析する。 厚労省は、計画的に有給休暇をとりやすくする制度を導入した企業への助成金制度を2008年度に導入。 今春には労働時間等設定改善法に基づくガイドラインを改正し、労使で有給休暇の取得状況を確認した上で、取得率の数値目標を設けることを努力義務にした。 |
去る9月23日、シアトル・マリナーズ(Seattle Mariners)のイチロー選手が前人未到の10年連続200安打の偉業を達成した。(2010年9月24日-日刊スポーツ イチロー10年連続200安打!輝く金字塔)
約1年前の「ヤンキース松井、ワールドシリーズMVP」に匹敵するニュースだろう。
日本でも多くのスポーツ紙がこの快挙を報道したほか、マリナーズの地元シアトル・タイムズ紙(Seatle Times)も、Ichiro stands alone with 10th straight 200-hit season(イチローは10年連続200安打の無類の記録を達成)と報じた。
この中で記者のラリー・ストーン(Larry Stone)氏は、「シアトルの街に新たな名物が加わった。雨、コーヒー、パイク・プレース・マーケットの『空飛ぶ魚』、そしてイチローの200本安打だ。(His
metronome-steady output has reached the iconic status of a Seattle archetype
- the rain, the coffee, the flying fish at the Pike Place Market, and Ichiro's
200 hits.)」とコメントした。
それはそうだろう。
シアトルを訪れる日本人観光客で、イチローのプレーを見たいという人はかなりいるのではないかと思う。
ピッチャーと違ってイチローならば、ケガでもしない限りゲームに出場するのだから見そびれる心配がない。
私は今年の年末年始休暇を使ってニューヨークへ行くことが決まったが、メジャーリーグのシーズン中であれば行き先を西海岸にしたかもしれないのだ。
彼の偉業はいつまで続くのだろうか。
来年のゴールデンウイークか夏休みに渡米するようなことがあれば、今度こそはメジャーリーグ観戦を組み入れたいと思う。
とりあえず、今はイチローの偉業に乾杯だ。